山上り、左右之石籠、切石之
塀(ヘイ)なとあり、混(コン)堂ハ銅屋根、
金(カネ)之水留、其他何れも結構
なる事也、夫より本堂登
り見るニ、堂之立派、実ニ驚
目計りナリ、紺上之画、柱之朱
塗り、麗なる事ナリ、眼下ニ町を見、下タよりハ
八町計り之由、木をへ繁りて
大概樫ナリ、中ニむく之木アリ、
始て見る、山之中広、大相之
物なり、下りて宿寄り、荷
を取り、直ニ多度津出、丸亀
よりも三里、多度津より三里、
尤も善通寺廻りけれとも
中々遠覚、善通寺ハ名計りニて
大ニ失望、多度津ハ城下ニて
且船(湊)附故賑やかナリ、昼時分故、
船宿ニて飯を食へ、差図 |