けれ共、程なく降り、南ハ
暗く、更に見込もなく、見合する
中、案内も来り、坊ニも
進め、頂上ハ快晴なり、返
雲のある方登ニ好シト進れ
共、南ハ暗雲ニ、登ルも意不進、
此頃の空くせと云ながら、今日ハ
梅雨も済、最早と思し処、
又如此、又志折て昼過より
村山ヲ下り、本来し道を
帰る時、亦或ハ頂をあらわし、
或すそ出、此時ハ大宮を過、
山道ニ懸りし時なり、亦暫
足を留、なかめ居れハ、又雲
蔽、又あらハれ、是ニてハ終ニ不能
遂志と覚悟ヲ極メ、蒲原と
急(イソキ)し処、今迄一人も連之なきニ、
三人之道者ニ逢、江尻之出家、
壱人ハ供勢ひ具しくるなり、 |