公儀より御尋ありけれ共、
碇(確)と不分、(是ハ此度横浜交易故之由)、
大略十万両計りと、盛なる
物なり
十三日 晴降相半 ○蒲原
朝、宿之裏出見ニ、頂ヲあらハス、
意を決、村山と云処迄(ニ里計り)登り、
大鏡坊と云寺附、是道、先ツ冨士ノ
全形を見るとも云へく、弥登りて
弥高、実ニ三国をあつすると
可謂、先ノ江ノ島之見ハ、井中ノ見と
自ら笑て楽ける、此寺ハ山ノ
正面表口ニて随一之位之由、乍去、
寺ノきたなき、云計りなし、余り
むさほる故ならん、外之坊之方
&~由、坊ニ早けれ共昼飯
ヲ食へ、食事之用意、案内
ヲ頼、一升食ヲ重箱ニ入、案内賃ハ
一人前一朱、五人一組トス、我一人故
弐朱取と云、万事用意ハ善
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