咄ヲ聞(米直段之事ニ付)、能筈ナレ共、ヤハリ表ヲ
張所ニて、何れも貧シト、殿様・家中
勝手不能由、四年トか前ニ札
一匁十分一ニナリ、当時ハ八文ニ
当ル、其前迄ハ讃支(岐)へ渡ると正銭
百五文迄ニハナルト、是ニテ金持も
長持ニ弐三杯も持しモアリ、此十分一ニテ
皆ヨワルト、可歎事ナリ、地震之
年之仕事か、熊沢之事を
聞ニ、繁山村ハ五里計リ跡ニ
ナルト、山ノ中ナリト、繁山之事ハ
能不知、其人ならん、白昼ニ
提燈ヲ附、立ノクト、其人、御城
之際ノ川山ノ木ヲ切ルト、後ニハ千石積
之不入様ナルト、要害も悪しと
云れし由、果して今ハアセタリト、
をそろしき人なリト云、繁山之
事ならん、石山多き故、
予問、炭・焚木如何ト、沢山
なる由、炭之直段六貫匁 |