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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 乾
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稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
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小林虎三郎
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求志洞遺稿について
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凡例
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27.子産/28.明の史閣部、清の睿親王に答ふる書の後に書す
夫れ唯々其の法審らかなり。故に政得て斉ふべし。礼脩るなり。故に
国基以て立つあり、民心以て定まるあり。敵に応じ、又依って恃む所あり。材任ずるなり。故に法以て伸び、礼以て行はれ、内の政を為(をさ)め、外の敵に応ずる、皆其の可に当って、其の当を得ざる莫し。彼れ其の
弾丸黒子の地を以て、晋楚二大国の間に立ち、抗弁強論し、毎に理を以て勝ち、未だ
て少しくも
まざる者は、其れ此れを以てに非ずや。
今地は則ち
に百倍し、国弊えたりと雖も、未だ
の乱甚だしきが若くならず、敵強しと雖も、未だ晋楚の
に於けるが若くならず。盍ぞ自ら治むるに子産の
を治むる所以の者を以てせざる。
二八、明の
史閣部、清の
睿親王に答ふる書の後に書す
命なる者は外なり。義なる者は内なり。義を尽くせば、命其の中にあり。命を主とすれば、義を尽くさず。君子の自ら尽くす所以の者は義のみ。命は則ち言はざるなり。故に君子不幸にして、乱朝に仕ふれば、壊敗已に極まり、命数已に去り、其の力の能く救ふ所に非ずと雖も、然れども亦且つ奮励
主張し、以て挽回興復の道を尽くし、身と国と亡ぶるに至って後已む。是を之れ義を以て命に処すと謂ふ。明の閣部道隣先生史公の若き者は、豈所謂義を以て命に処する者か、非か。
明の乱は尚(ひさ)し。
万暦の濫政、継ぐに
天啓の党禍を以てす。天下の賢豪を挙げて、これを冤獄に帰し、屠戮殆ど尽くす。天地怒り、神人憤る。盗賊内に熾んにして、夷狄外に侵す。遂に以て宗社の亡ぶるを致す。是れ固より区々たる人力の得て而し復興する所に非ず、公寧んぞ知らざらんや。然り而して猶且つ
鞠躬尽力して、存すること一日なれば、乃ち一日の責を尽くして措かざる者は、誠に夫(か)の義の尽さざるべからずして、命の当に言ふべき所に非ざるを知ればなり。
公の行事、史書に載する者、
巍然煥然として、人の共に知る所なり。其の自ら尽くす所以の志、これを文辞に著はして、正大明白、能く其の委曲を極むる者に至っては、虎以て
斯の文に如くは莫しと為す。
蓋し嘗つて試みに之を論ぜり。睿王雄略人に絶し、困難の勢に乗じ、
剿仇の義を仮り、又
春秋の文を取って、牽強附会し、其の言を婉曲にし、来って相詰責す。是の時に当って、公の焉に答ふる所以の者、亦難からずや。然り而して公則ち従容として之を出す。其の春秋の文は、本(もと)諸侯の為に説を立つ、宜しくこれを天下の共に主たるに用ふべからざるを論ず。義理明弁、既に已に以て睿王書を贈るの意を
折くに足る。而して其の詞たるや、厳にして激せず、恭にして屈せず。彼れ義を仮ることに因って之を引けば、彼れ我を軋ることに因りて之を反す。凡そ千有余言、
一罅の指斥すべきなし。其の君を哭し、乱を哀み、天に誓ひ、国に報ゆる所以の意は、則ち又触るる処に発出す。閲覧の間(問)、人をして慷慨嘆嗟し、
涕泗の
に
はるを知らざらしむ。蓋し公は至誠
惻怛(
)、純粋無二にして、義に於て当に為すべき所は、
瑩然として貫徹し、決然として之を行ひ、俯仰愧作する所無し。気の体に充つる者、浩然として暢達す。
注釈
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27.子産29-30
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28.明の史閣部、清の睿親王に答ふる書の後に書す1-8
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28.明の史閣部、清の睿親王に答ふる書の後に書す9-15
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