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4.小林炳文に贈る
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 四、小林炳文に贈る
 宇宙の間、実理二無し。斯の理の在る所、天地も此れに異(たが)ふ能はず。鬼神も
  (「象山全集」第一巻にはこの処に「百世聖人不能異之」の八字あり。)
此れに異(たが)ふ能はず。近来西洋人発明する所の許多の学術、要は皆実理にして、祗(ただ)以て吾が聖学に資するに足るのみ。而して世の儒者は類(おほむ)ね皆凡夫庸人にして、注釈1窮理を知らず。視て別物と為し、啻に好まざるのみならず、動もすれば之をに比す。宜なるかな、彼の知る所之を知る莫く、彼の能くする所之を能くする莫きや。注釈2蔽深固、永く注釈3孩童の見を守る。此の輩、惟々哀愍す可きのみ。以て注釈4商較を為すに足らず。大夫当に大塊有る所の学を集め、以て注釈5大塊無き所の言を立つべし。小林炳文は吾に従って遊び、吾が言を説(よろこ)ぶ者なり。其の帰省するに於て、書して以て之を贈る。
北沢子進は斯学に志あり、吾甚だ之を愛す。頃(このごろ)、故紙(こし)を閲して、中に此の草を得たり。遂に録して以て示す。庶幾くは其れ発する所有らんのみ。
                             注釈6

伯舅雙松翁の長岡に帰るや、象山先生の贈序一篇有り。戊(戌)辰の役、注釈7兵燹に罹り、
遂に注釈8烏有と為る。頃者、北沢君の家を訪ね、偶々其の稿を見、即ち請うて石版に上せ、以て巻頭に置くと云ふ。
    明治二十六年八月

          外甥 小金井権三郎 小金井良精 謹識

注釈

1-6
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