丸き閣(ガク)三ツ、其結構実可見
物なり、何か寛々可記也、
山ハ珍也、御塀抔(マガキとも云ル)迄、
金ニてほり物あり、御宝物
蔵アリ、奥ノ院、今五丁と云
口(クチ)ニて拝ス、四月十七日ニハ行かるゝと
云、常ハ銭金之及処ニあらす、
一人ニても同し事、連ありて
都合善し、御山を下り、
夫より府中迄、二人之士と来り
けれ共、御城を見ルため、跡
残り、大手迄至り見、府中ノ町ハ
広物なり、三代将軍之御実母
之御寺あり、結構なる様子、
義元之寺も一里計り行、山ノ
上ニありと、往事義元之事
且神君之御在世を思出、江戸
ニ比すへきニハあらされとも、
何となく広ニあらす、
好所なり、流覧して |