阿部川を渡(連台渡)、又銭を
むさぼられ、鞠子ニ宿ス、駿府ヲ出、
阿部川端迄之処、冨士之景、更
可見、冨士之見ゆる迄ハ心残らん、
久能山参詣ハ汗臭(クサ)き躰(カラダ)ニてハ実
恐入、真之拝ハ不出来心持也
十五日 雨風 ○島田
此頃、十日余りも大井川留り
(十一日昼前、一時計り明由)、
御茶つぼ始、留ル由、其他諸大名・
旅人多ゝまリ居旨、既ニ昨年
なとハ一月之中廿日余りも
留りし由、今迄之川も留り
けれ共、運好して一度も
留られす、大井川、明日ハ明由な
れ共、又雨ニて如何成物か
不計、大名も昨年ニこり
たるか、大体中仙道を通し
由、東海道ハ甚不景気、道ハ |