好けれ共、宿々をあげてハ
家作も至悪敷、是皆
川違之ためと、余り銭を
むさほる故也、今ニ至りてハ
川違を幸ニ思者も、心ある
者ならばさとらんか、可歎、
已ニ一昨日、大宮在山之中ニて
聞ニ、是辺の玉子、皆海道
出すニ、当年ハ一向不出、不景気
無云計と、能事を執者あ
らば、往来之人ハ無云迄、
海道自然立派(バ)ニならんか、
大井川ハ留り、且しきりニ雨降
故、昼飯迄給へ、朝四時分迄ハ
天気故、単物を濯へ、幸へ裏ニ
清潔流水あり、旁逗留ス
是より後ハ暑と路とニ堪兼、
宿りも不記、終ニ、三条之宿屋迄
来り、昨夜之客ニ寝を妨し故、 |