今日ハ出る気力もなく昼寝、
余り皆忘れたれ共、宿附ニて
もと記置
昼九ツ過、明日ハ大井川川あき之
為知ありと告、単物ハ干(ヒ)、直に宿ヲ
立テ、ウツノヤまを越、少し山なれとも
険にして面白処なる様覚、漸く
島田迄達し宿ス、松山公始旅人
皆是ニ留り、其上両関を始相撲
ノ多勢逼留して、弥宿も塞り、
そはやノあやし敷所ニ宿ス、
尤相撲ハ島田ニあり、昨日迄致ス由、
是より見附ニ立と云、此夜、横須賀
之足軽様なる者と同宿、此者
同役数人之者之ため、宿を
取りて其人不来、終ニ宿主
之ため云懸られ、己ノ払外ニ朱
包みて云訳す、気之毒なる事也
十六日 晴 ○浜松
島田を立て大井川之端 |