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25.妻在の寓居雑詩三首/26.憂思の詩に序
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 二五、注釈1妻在の寓居雑詩三首

四山の注釈2霜葉注釈3紅瀾を漲らし 注釈4歴落として江に臨む幾十村 鶏犬の声は稀にして白日閑なり 風光恰も是れ注釈5桃源に似たり 
淡煙注釈6漠々として水注釈7淙々 門外の注釈8幽蹊晩に蹤を絶つ 宿(ねぐら)を求めて群鴉林に向って去り 疎鐘声裡注釈9日将に舂かんとす
 手に随って注釈10拈じ来り、注釈11翩翩として誦すべし。
驚き見る遙山頭已に白きを 紛々たる落葉書窓を撲(樸)つ 収穫注釈12倥偬たり日又日 前渓猶ほ未だ注釈13徒杠を架せず

 二六、憂思の詩并に

 注釈1今茲注釈2乙卯、十月二日の夜、注釈3江都地、大いに震ひ、注釈4第屋頽破し、火随って起り、死傷数十万あり。余時に書を妻在山中に読み、之を聞いて大息して曰はく、噫、天何ぞ独り未だ本邦を閔まざるや。去歳十一月の地震、惨注釈5七道の三を被ふ。而して今復た此の如し。と。既にして又曰はく、天の独り本邦に閔まざるのみに非ず、蓋し深く恤へて大いに之を懲すなり。注釈6洋警起るや尚し。一世注釈7恬嬉、守禦の術講ぜず、注釈8の書をらして来るに及んで、注釈9陸梁注釈10忌憚無し。而して狼狽注釈11錯愕、之を奈何ともする莫し。情露れ形屈し、遂に注釈12甲寅三月の誓あるに至る。海禁壱たび弛んで、注釈13羅英の諸夷、亦皆来りて、求むる所あり。注釈14駸々乎として注釈15牀の勢を為す。而して世猶ほ安きに狎れ、労を憚って其の図を改むるを欲せず。天其の此の如きを恤む。故に去冬の災あり。以て之を懲らす。夫れ国の国たる、山川土壌のみ。而して今則ち壊覆す。天意知るべし。然り而して一世滔々として、未だ注釈16する所以を知らず。既に注釈17期月に注釈18向んとして、猶ほ且注釈19依然たり。此れ則ち天の恤みを為すこと益々深きなり。是に於いてか、復た注釈20頃日の災あり。以て大いに之を懲らす。蓋し若し今にして改めずと謂はば、将に注釈21諱むべからざる者あらんとす。独り国をへ地を失ふのみに非ざるなり。是を以て之を観れば、天の本邦を閔む、豈周にして且つ至らざらんやと。終りにして又曰はく、然りと雖も、天能く象を以て人に示す。人の為(しわざ)に代ふる能はず。

注釈

25.妻在の寓居雑詩三首 26.憂思の詩に序1-10 26.憂思の詩に序11-21
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