二七、春日旧に感ず丁巳 昔遊(せきいう)首を回らせば夢茫茫 佳辰に値ふ毎に情転た長し 記得す春風台嶽の畔 紅霞深き処坐(そぞ)ろに觴を飛ばししを
二八、雑感 五洲の形勢変遷頻りなり 何事ぞ廟堂革新を憚る 畢竟富強は惟々勉むるに在るのみ 聖東彼得定めて何人ぞや 是れ尋常読書人ならず。 飛烽一夕海潯に伝はり 至尊をして枕を高うして眠らしめず 志士邦に酬ゆる宜しく策あるべし 彫虫豈腥羶を払ふ可けんや
二九、夏日偶作 占め得たり荒園数歩の寛 の中亦自ら遊観するに足る 長春紅に綻ぶ樊籬(離)の下 燕子花開く池沼の干 一樹の老松風謖謖 万竿の修竹露 会心未だ必ずしも丘壑に在らず 城市誰か知らん此の歓びあるを
三〇、又、進退格