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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
小林虎三郎 求志洞遺稿について 凡例 このサイトの見方
求志洞遺稿詩坤
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58.図書/59.攘夷の詔下るを聞き、慨然として詠を為す。/60.又/61.又/
62.癸亥の春、感を書す。/63.癸亥の秋作
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雲を興し雨を行るは注釈4神竜に付す
 身世を俯仰して一嘆一嗟す。

 五八、図書

図書を友と為して楽しみ注釈1涯り無し 炉上香は浮ぶ一鼎の茶 興に乗じて注釈2吟哦し聊か志を慰む 須ゐず芸苑注釈3才華を較ぶるを

 五九、壊夷の詔下るを聞き、慨然として咏を為す。

暴悍優柔倶に真を失す 時務を究知するに人無きを恨む 注釈1戎に当って進まざるは固より義に非ず 注釈2僵屍して哀しむ奚んぞ其れ仁ならん 注釈3呉子曰く、敵来って進まざるは、義に逮ぶ無し。僵屍して之を哀しむは、仁に逮ぶ無しと。注釈4二白は此に本づく。 注釈5勾践羞を忍んで克く国を興し 注釈6(瑩)戦ひを好んで卻(郤)って民を傷つく 憐む可し久病衰残の客 起って注釈7南天を望んで空しく注釈8呻す
  当時、攘夷論天下に満つ。此の説を持する者、海内其れ幾人かある。

 六〇、又

注釈1夜郎自大注釈2戎の侵すを致す 畢竟憂患は是れ注釈3薬箴なり 注釈4愚悃将に呈せんとす注釈5伯夷()伝 君王方に中興の心あり

 六一、又

四方に転運するは舟楫を仰ぐ 殊に西人を恐れて坐ながらにして謀に困しむ 安んぞ注釈1艨艟千百隻を得て 注釈2常山の蛇勢神州を護らん
 議論絶大なり。

 六二、注釈1癸亥の春、感を書す

時危うして志士憂慮多し 況んや我臥床して殊に情を苦しむるをや 何(いつ)か当に注釈2膏肓の厄を脱して 復た邦家の為に注釈3兵を講ずるを得べき

 六三、癸亥の秋作

洋夷の勢日に熾んに 来り迫る西又東 藩鎮亦注釈1跋扈し 山陽腥風起る」 皇威振はず覇図廃し 瓦解土崩害並に至る 姦兇卻(郤)って唱ふ天誅の名 注釈2強掠殺を専らにして肯へて忌まず 注釈3紫垣の下注釈4金城の中 白日縦横たり注釈5血骼」 奈何せん注釈6鈞軸注釈7に乏しきを 調停一意注釈8懐柔を要す 寇賊侮りを生じ益々注釈9嘯聚す 注釈10固を負ふの虎視邪謀多し」 四海同じく悲しむ禍乱の迫るを 諸公注釈11倥偬として食ふに遑無し

注釈

58.図書 59.攘夷の詔下るを聞き、慨然として詠を為す。 60.又 61.又
62.癸亥の春、感を書す。 63.癸亥の秋作1-11 63.癸亥の秋作12-19
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