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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
小林虎三郎 求志洞遺稿について 凡例 このサイトの見方
求志洞遺稿詩坤
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100.春暁/101.春日偶成/102.命を奉じて居を移して後作る/
103.川島子樂の軍に赴くを送る/104. 戊辰初春偶作/105.家国
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梅花将に綻びんとして復た雪を飛ばす 背に灑ぐ春寒暁更に生ず 黄鶯の籬外に囀るあるに非ずんば 誰か知らん時節の注釈4清明に近きを

 一〇〇、春暁

光り輝く山上暁鐘の声 注釈1驚破す注釈2幽人春夢の清きを 余温に注釈3貪着して猶未だ起きず 閑に聴く黄鳥竹間に鳴くを

 一〇一、春日偶成

拙才当に世人の嫉みを免かるべし 況んや復た病身注釈1隠淪に甘んずるをや 注釈2官海の風波嘗つて注釈3管せず 独り詩酒を将って芳春に答ふ

 一〇二、命を奉じて注釈1居を移して後作る

弱齢志士を慕ひ 注釈2溝壑忘るる所に非ず 注釈3転徙注釈4遷謫に似るも 何ぞ中情を攪(みだ)すに足らん 陋室宜(宣)しく注釈5拙を養ふべく 注釈6幽郷注釈7城に遠きを喜ぶ 惟々注釈8天爵を貴ぶを知るのみ 世栄を羨むを須ひず 未だ注釈9顔子の樂しみに擬せず 最も注釈10欽ふ注釈11伯夷の清きを 卻(郤)って笑ふ注釈12賈太傅(傳) 注釈13貶黜せられて謾りに悲傷するを

 一〇三、注釈1川島子樂の注釈2軍に赴くを送る

太息す斯の行注釈3卒伍に混ずるを 寒風骨を注釈4して雪紛紛 頭を回らせば注釈5越嶺注釈6頑霧横はり 注釈7眥を決すれば注釈8京城注釈9賊氛蔟(むらが)る 君道ふ邦にゆるは唯々一死のみと 誰か注釈10司命と為って注釈11三軍を御す 如今無限の傷心の事 卻(郤)って注釈12離觴に対して敢へて云はず

 一〇四、戊辰初春偶作

注釈1不惑過ぎ来って又一年 頭を回らせば往事夢と茫然たり 病身国を憂ふるも補ひ為り難し 矮屋愚を守って好んで禅を学ぶ 灯火暗明たり注釈2地炉の畔 雪声注釈3淅(浙)瀝たり紙窓の前 夜寒うして客の柴戸を敲く無く 一鼎の芳茶手自ら煎(に)る

 一〇五、家国

家国の将に傾かんとする支へ易きに非ず 権奸命を窃(ぬす)んで士民離る 注釈1曲突徙薪事に及ばず 焦頭爛額只斯の時のみ 注釈2邦を去るは竟に忍び難し 注釈3三閭水に投ずるも亦注釈4徒為のみ 疾を力めて注釈5抗疏するとも誰か又諒とせん 孤臣の注釈6幽憤天の知る有り
 一片憂国の心以って上帝に対すべし。

注釈

99.仲春偶書 100.春暁 101.春日偶成
102.命を奉じて居を移して後作る1-10 102.命を奉じて居を移して後作る11-13
103.川島子樂の軍に赴くを送る 104. 戊辰初春偶作 105.家国1 105.家国2-3 105.家国4-6
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