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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 乾
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稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
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小林虎三郎
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求志洞遺稿について
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凡例
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2.興学私議/3.影本陸宣公奏議の後序
夫れ是の如くにして、功成らざる者は殆ど未だ有らざるなり。然れば則ち愚の所謂国家万世富強治安の計、其の本固(まこと)に人主の学に在りて、而して人主の学に進む、又唯此の時を然りと為すのみ。聖人起る有るも、以て此(これ)を易(か)ふる
蔑し。而して明主賢相、果して万世富強治安の計を為さんと欲せば、必ず愚が言を用ひん。
安政六年己未(つちのとひつじ)
孟春、疾を力(つと)めて草を求志洞に属す。雙松
夫、虎。
象山先生曰はく、小林子文は、嘗て余に従って遊ぶ。
明体達用の学に志あり。
辞別して数歳。録して此の文を示す。
詞理明暢にして、皆実用あり。平生の志に負(そむ)かずと謂ひつべし。
三、
影本
陸宣公奏議の後序
学は以て道を明らかにし義に精しきに足り、智は以て物に周(あまね)くして変に通ずるに足り、量は以て煩を制し難に処するに足る。是れ之を大臣の材と謂ふ。夫(か)の天下
安危の機は君心の邪と正とに在るのみ。故に大臣の職は必ず君心を正すを以て急と為す。君心を正さんと欲する者は、必ず先づ其の身を正す。苟くも其の身を正さんと欲して、而して学の未だ講ぜず、道の未だ明らかならず、義の未だ精しからざれば、則ち其の己を正す所以の者、固より已に足らず。悪んぞ夫(か)の
啓沃の道、
格正の義皆其の可なるに当りて、其の要を得るを望まんや。
天下の事是の如く其れ多きなり。天下の変是の如く其れ窮む可きなり。苟くも其の情未だ審かならざる所あり、其の機未だ察せざる所あれば、則ち措置の間、
方
円鑿、皆其の
肯綮に中る能はず、悪んぞ天下の治を成して天下の乱を制するを得んや。天下の事固より
蝟毛の若くして至る者あり。天下の変固より
迅雷の若くして起る者あり。是の時に方りて、苟くも其の
方寸の内、
湛然として澄明に、卓然として動かざるに非ずんば、則ち
倉卒の際、挙措
倒し、皆以て其の要を得ること無し。悪んぞ敗亡の禍を免るるを得んや。是の故に学は以て道を明らかにし、義に精しきに足らざれば、以て其の本を立つる無きなり。智は以て物に周くして変に通ずるに足らざれば、以て其の用を致す無きなり。量は以て煩を制し難に処するに足らざれば、以て其の重きに任ずる無きなり。三者全し。然る後に大臣の材備る。唐の
丞相陸宣公の若き者は、豈其の人か、非か。
夫れ唯々其の学以て道を明らかにし義に精しきに足る。故に
沛紛乱の際を以て、能く君に勸むるに大道を以てし、己を正しくするを以て本と為し、己を咎むるを以て要と為し、賢に任じ能を使ふを急と為し、謀を問ひ諫を容るるを要と為す。勤倹以て事に従ひ、
寛優以て人を待つ。其の義の感ずる所に至っては、
徳宗の
猜忌を以て、猶能く
悚然として敬を致し、纔に公に聴く所有って、以て天下の勢を反す。
夫れ唯々其の智以て物に周く変に通ずるに足る。故に
震蕩破砕の余を以て、将を遣し軍を出し、糧食を弁じ、財用を給す。皆能く其の宜しきを得て、内は則ち経営の計、外は則ち攻守の略、
注釈
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2.興学私議151-156
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3.影本陸宣公奏議の後序1-10
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3.影本陸宣公奏議の後序11-19
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