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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 乾
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稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
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小林虎三郎
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求志洞遺稿について
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凡例
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7.察地小言の序/8.察地小言の後序/9.書畫帖の序
廟堂の上惟々我が令の境外に行はれざるを患ふるのみ。故に此の書の訳も亦専ら内を平らかにするが為にす。
癸丑より今に至るまで、
一紀に過ぎざるに、世局の変換、既に已に此くの如し。而して忠智国を憂ふる、象山先生の若き者、示諭の言猶耳に在り。而して又
殃を其の間に免かるるを得ず。此れ則ち虎が翻訳の間、俯仰回顧し、覚えず
流涕して大息するところなり。
因って既に其の鈔訳の由を叙し、又附するに
此を以てし、これを巻首に
(お)く。
慶応丙寅、
孟秋下浣。小林虎、炳文病を力めて、求志楼上に書す。
八、察地小言の後序
虎既に此の原本を象山先生に受く。先生虎に謂って曰く、探候の事は機敏なる者にあらずんば、以て之に任ずるに足らずと。蓋し、虎資性
樸魯、機敏は尤も其の足らざる所と為す。故に特に因って以て戒しむるのみ。
然れども、探候既に地の利否と敵の
虚実とを察し、之を主将に報ずれば、主将の其の方略を定むるに、必ず此れを以て拠りどころと為さざるを得ず。探候苟くも誤らば、主将も亦必ず其の誤りを受け、
引勝
覆軍の禍立ちどころに至らん。然らば則ち先生の言は、固より通論為(た)り。而して豈猶虎が対症的薬為るごときのみならんや。
然りと雖も先生の意は亦惟々機敏なれば、乃ち可なりと謂ふにあらざるなり。夫れ機敏と否とは、惟々既に兵を学ぶ者に就いて論ず可し。未だ
兵機を学ばざれば、敏も亦何の用ふる所ぞ。機敏の資を以て、而も兵法の要を暁らば、其の敗を免るるに庶からん。
昔(むかし)者、
八幡公
奥賊を平げて還り、
藤関白を訪うて戦事を談ず。
江黄門別室に在って之を聴き、其の勇ありて、兵を知らざるを言ふ。公之を聞き、遂に節を屈して黄門に学ぶ。後、
羽賊を勦すとき、過雁の驚き散ずるを見て、曰く、之を江公に聞く。云ふ、
伏兵野に在れば、過雁行を乱すと。豈此を謂ふかと。乃ち兵を放ちて以て探る。果して伏あり。撃って之を
殲す。是の時に当って、公をして未だ学ばざらしめば、亦曰(ここ)に殆い哉。嗚呼、是れ以て証す可きのみ。(己)
是を後序と為す。 小林虎、炳文 甫。
九、書画帖の序
余嘗て
江門に在り。
花戸を訪うて、其の園を観る。異草奇樹、其の幾百株なるを知らず。或いは花の
なるを以てし、或いは葉の秀でたるを以てし、或は枝幹の奇なるを以てす。紅なる者あり。紫なる者あり。黄なる者あり。白なる者あり。翠なる者あり。緑なる者あり。艶麗なる者あり。
蕭淡なる者あり。
怪特なる者あり。幽雅なる者あり。其の色其の態固より区して以て別てり。而して其の各々天然の致を存し、以て観る者をして、其の目を娯しませ、其の心を怡ばしむるに足るに至っては、則ち亦未だ始より同じからざるなり。書画帖を観るに、其の是に類する者あるか。詩や、文や、書や、画や、若しくは
雄渾、若しくは
繊、若しくは
典麗、若しくは
冲澹、若しくは
遒勁、若しくは穏秀、若しくは
綺靡、
注釈
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7.察地小言の序35-41
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8.察地小言の後序
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9.書畫帖の序1-10
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