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稿本略註国訳求志洞遺稿 文 乾
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稿本略註国訳求志洞遺稿 詩 坤全
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小林虎三郎
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求志洞遺稿について
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10.泰西兵餉一班の序/11.野戦要務通則一班の序/12.民間禁令の序
慶応丁卯晩夏の望。求志楼無人処に於いて。
寒翠病叟虎題。
一一、
野戦要務通則一斑の序
軍野に出づれば、将帥偏裨自り以て軍吏伍長衆卒に至るまで、各々要務あり。要務能く挙れば、則ち軍治って戦勝つ。挙らずんば則ち軍乱れて戦敗る。然れども其の能く挙ると否とは、未だ始より予習すると否とに由らずんばあらず。西洋の兵学、科を分ち門を設くること無慮若干。而して野戦要務を以て其の一に置くは、蓋し此の故を以てなり。其の科固より専書あり。事に洋兵に従ふ者、其の詳らかにして且つ備はる者を求めて、之を講ぜざるべからず。
余荷蘭の薄氏の従軍必携を閲するに、其の内の野戦要務通則は、語簡に過ぐと雖も、事目頗る多し。亦以て其の大凡を観るに足る。因って抜いて之を訳し、一冊子と為す。之を一斑と謂ふ者は、其の専書に非ずして、未だ詳らかに備はれりと為さざるを明らかにするのみ。大方の君子、固より取るなからん。然れども初学の士、目未だ
蟹文を知らざる者、或いは受けて之を読まば、則ち其の
全豹を求むるに於いて、未だ必ずしも助け無くんばあらずと云ふ。
丁卯
菊月 寒翠 病叟題
一二、
民間禁令の序
天下民に降して、之が君たらしめ、之が師たらしむ。君師の職は民を教へて善を為さしむるに在るのみ。而して刑なる者は、夫の民の教に従はずして悪に入る者を懲さんが為にして設くる也。故に
皐陶の士と作るや、舜之に告げて曰く、「
五刑を明らかにし、以て五教を弼け、予が治に期す。刑は刑無きに期し、民を中に協ふ」と。然らば則ち刑は固より聖人の已むを得ずして用ふる所なり。夫れ既に已(巳)に已むを得ずして之を用ふるなり。則ち夫(か)の民の、某悪を為しては当に某刑を受くべく、某
奸を為しては当に某
戮を蒙るべきを知らずして、
冥然として冒犯する者、遽に処するに法を以てするは、
罟を設けて之を取るが如し。豈其の忍ぶ所に在らんや。是に於いてか、先づ刑の条目を掲げて以て、
く民に示し、其れをして固く観て之を熟知せしむ。書に曰く、「
象は典刑を以てす。」と。象とは天の象を垂れて人に示すが如く、人に示すに常刑を以てするを言ふ。
周官の司
に「
正月の吉、始めて和す。刑を邦国都鄙に布く。乃ち刑象の法を象魏に懸け、万民をして刑象を観しむ。浹(挟)日にして之を歛む」とは是れ此の事なり。
夫れ此くの如し。而も猶冒犯する者あり。乃ち審らかに其の情を訊ね、赦すべからざるを見て後に之を刑すれば、則ち惟々我が
哀矜
惻怛の心、既に尽さざる所無きのみにあらず、彼の刑を受くる者、又甘心して罪に服して、怨恨する所無からん。即ち亦以て夫の悪を為さんと欲するの民をして、皆畏避する所を知って敢へて発せず、遂に以て善に帰せしむるに足る。
後の儒者此に達せず。或いは
左氏載する所の、
叔向、子産を責め、
仲尼、
注釈
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10.泰西兵餉一班の序15
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11.野戦要務通則一班の序
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12.民間禁令の序1-09
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12.民間禁令の序10-15
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