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23.馬基頓の二英主の伝/24.柳士健に与ふる第一書/25.柳士健に与ふる第二書
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故に諸将各々部下兵を擁し、自ら其の守る所の地に拠り、国以て分裂し、王の胤竟に絶えたり。
 論に曰く、「亜勒散得(アレキサンドル)、英才大略、固より千古に過絶す。然れども非立(ヒリツプス)の之が前を為すあるに非ずんば、其の成功の速かなる、悪んぞ能く此くの如くならんや。」と。伝に曰く。「創業統を垂るること、非立(ヒリツプス)あり。亜勒散得(アレキサンドル)をして獲て其の志を竟へしめば、則ち三洲の地を注釈43括して、以て大統を一にするの勢を定めんこと、吾其の難き非ざるを見る。然り而して、天之に年を借さず、偉業中ごろにして廃す。惜しむに勝ふべけんや。余幼時国史を読み、注釈44織田右府の注釈45削平の功、成るに垂んとして、俄に注釈46逆豎(竪)に斃れしを観る毎に、未だ嘗つて巻を掩ふて泣かずんばあらず。今亜勒散得(アレキサンドル)の事に於ても亦然り。」と。


 二四、注釈1柳士健に与ふる第一書
 五月朔、虎、頓首再拝して、書を士健老兄案下に呈す。昨注釈2枉訪を辱うし、留宿して縦談せらる。殊に病懐を慰む。感謝感謝。惟々老兄書を読むこと日に多く、注釈3究理益々勤め、注釈4駸々乎として進んで止まず。虎注釈5臥蓐数歳、旧学注釈6荒蕪し、識滞り辯(辨)訥に、与に議論を競ふ能はず。大いに注釈7恵顧の意に負き、深く以て愧と為すのみ。然れども老兄が言ふ所の、注釈8論語、学而章の集註、注釈9明善の字、当に行を兼ねて説くべくして、当に独り知を以てのみ説くべからずといふ者は、虎更に詳しく之を考ふるに断じて然らざるを知るなり。
 何となれば、則ち明善の字、本、注釈10中庸に出で、身を誠にすると対言す。明善は固より是れ知。身を誠にするは、固より是れ行。故に朱子大学の末に於て、格致の章に言ひては、則ち注釈11明善の要と曰ひ、誠意の章に言ひては、則ち誠身の本と曰ふ。固より已に知行を以て対言す。何ぞ独り此に於てのみ行を兼ねて言はんや。
 且、明善と曰ひ、誠身と曰ひ、皆学問大眼目の処、今直ちに注釈12本経の字を用ひて、以て他経を解するに、其の義は、則ち本経と合はず。朱子註解の精千古に過絶するを以て、而るに安んぞ此の注釈13鹵莽苟且の為あるを得んや。此れ其の明白注釈14的切にして固より毫髪の疑ひあるべからざる者にして、諸家の説も、亦異同あること莫き所以なり。
 顧ふに老兄、何を以てか之を疑ふ。豈亦別に証する所有って然るか。抑も其の之を求むる太だ過ぎて、自ら其の注釈15鑿に陥るを知らざるか。虎則ち又甚だ老兄の此くの如きを疑ふ。因って以て問ひを為す。教へらるれば幸甚なり。不宣。虎、頓首再拝。


 二五、柳士健に与ふる第二書
 昨昔書を呈して、妄りに鄙見を陳ぶ。老兄惟々注釈1狂率を咎めざるのみならず、忽ちに答誨を辱うす。平生の所見、注釈2端を叩いて遺す莫し。虎をして更に其の可否を議せしむ。雅詞縷々として、鄭重加ふる有り。虎の注釈3慚悚、何ぞ言ふべけんや。

注釈

23.馬基頓の二英主の伝43-46 24.柳士健に与ふる第一書1-8 24.柳士健に与ふる第一書9-15 25.柳士健に与ふる第二書1-3
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