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30.英吉利図志及び広述の後に書す
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 此れを以て之を観れば、注釈21虞廷の明法、注釈22周朝の良制、固より未だ挙らざる者あり。今此の書載する所、英国各官注釈23承行の事を考ふるに、得失勤怠 歳終る毎に注釈24巴厘満に注釈25会覈して、其の黜陟を行ふ。又医皆考試あり。考中りて方に病を治することを許す。此れ則ち虞廷の急にする所にして、我の未だ急にする能はざる所の者なり。英已に能く之を急にす。周朝の重んずる所にして、我の未だ重んずる能はざる所の者なり。英已に能く之を重んず。嗚呼、彼の英なる者は、我が夷視する所に非ずや。我の敵に非ずや。我の敵なり。而して我の未だ能くせざる所を能くす。我安んぞ懼れて之を能くすることを思はざるを得んや。我が夷視する所にして、我が未だ能くせざる所を能くす。我安んぞ恥ぢて之を能くすることを思はざるを得んや。詩に曰く、注釈26彼の園を楽しみ、爰に樹檀あり、其の下維れ穀(穀)、他山の石、以て玉を攻(をさ)むべしと。其れ此れを之れ謂ふか。因って掲げて之を出し、以て世道の責ある者に告ぐ。
安政四年丁巳、仲秋、長岡、小林虎子文注釈27甫書。
 米常に英を指して山狗と為す。或るひと又之を注釈28衍して曰く、洋夷は注釈29鈞しく是れ山狗なりと、余謂(おも)へらく、山狗の人を犯す、其の牙爪を恃むに非ずや。苟しくも爪牙無くんば山狗猛なりと雖も、何ぞ能く為さん。故に人自ら衛る所以の者、果して以て其の爪牙を制するに足れば、彼れ将に奔逃潜匿するに之れ暇あらざらんとす。敢へて人を犯さんや。洋夷の人を侵すも、固より亦爪牙あればなり。之を制するの術を務めずして、徒らに山狗を以て之を詈るのみならば、其の注釈30噬む所と為らざる者希(ま)れなり。故に其の艦を堅くし、其の礟注釈31皇いにし、其の民をして、侵侮を折くこと、米の英に於けるが若くならしめば、則ち指して山狗と為すも可なり。苟しくも未だ然る能はざれば、則ち不可なり。
 虎、再び書す。
 余嘗つて清人の、注釈32嘉慶艇匪の事を記する者を読むに、区々の小醜、注釈33海徼を注釈34覬覦するを観る。東南数千里、之が為に注釈35繹騒たり。朝廷の注釈36討剿、意の如くなる能はず、注釈37餉を糜し財を費やし、注釈38李胡の二将、前後に戦没し、十余年の久しきを経て、後纔に能く之を殲(つ)くす。乃ち曰く、設(も)し、清人をして霆船(ていせん)の時、洋舶洋礟を購造し、講じて習うに逮ばしめて、以て之れを撃たば、則ち何の注釈39労擾か、之れ此に至らんや。此の書の載する所、注釈40蔡牽朱濆の注釈41、海上を注釈42躁躪し、頻りに外洋の商船を掠め、夷舶に遇へば則ち敢へて動かざるを観るに及ぶ。一夷舶の利、十商船に抵(あた)るに足って、而も卒に相侵奪する無き者は自ら力の足らざるを知ればなり。水師艇匪を禦ぐ能はず、而して艇匪深く夷船を畏る。故に夷舶の注釈43虎門に入るや、注釈44晋省の河水師林立して、相顧みて色を動かすのみ。則ち又曰く是れあるかな、清人の注釈45鹵莽()なるや。夫の外夷は深く畏るる所と為りて、我れ反って艇匪を制する能はず。苟しくも外夷にして一旦変あらば、将に何を以てか之を待たんとする。孟子曰く、注釈46心に困しみ、慮に衡(よこたは)(衝)って、而る後に作り、色に徴し、声に発して、而る後に喩ると。艇匪の事は、固より心に困み、慮りに衡はる者なり。注釈47乾隆以還、英夷悪を隠すこと既に兆あり。豈亦色に徴し、声に発する者か、非なる耶。清人省悟奮発、惟是の時を然りと為すのみ。而して注釈48蒙蔽深固にして、優遊日を渉り、其の長技を師として、預め制馭の備を為すこと能はず。注釈49道光の注釈50敗衂豈怪むに足らんや。孔子曰く、注釈51三人行へば、則ち必ず我が師あり、其の善き者を択んで之に従ひ、其の不善なる者は之を改むと。

注釈

30.英吉利図志及び広述の後に書す21-30 30.英吉利図志及び広述の後に書す31-42
30.英吉利図志及び広述の後に書す43-51
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