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33.趙高鹿を指して馬と為す図に題す/34.書画帖に題す
35.犬の図に題す/36.赤水軒に書を読む図に題す/37.赤穂四十七義士の手簡の跋
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蓋し鹿と馬とは形ある者なり。是非邪正は形なき者なり。形あれば、苟しくも眼ある者、皆能く之を弁ず。形なければ、有識者に非ざれば、之を弁ずる能はず。天下有識者常に寡く、識なき者常に多し。則ち是非正邪の弁ずる能はず、才の士、随って其の姦を済すを得る者、豈怪しむに足らんや。悲しいかな。
 注釈7慶応丁卯、仲春。


 三四、書画帖に題す
 高堂客散じ、残酔醒めんと欲し、余興未だ竭きず。臥するも亦惜しむべし。永宵更闌け、注釈1漸く倦み、灯火猶明らかなり。眠りを思うて未だ能はず。是の時に当りて、此の帖を把りて展覧すれば、無限の幽昧、殆ど名言すべからず。然れども、惟々注釈2騒人注釈3逸士のみ、以て之を知るに足る。尋常注釈4俗竪の得て窺ふ所に非ざるなり。
 寒翠 病叟 虎識。


 三五、犬の図に題す
 世皆賎士の軟弱無能にして、其の職を勉めざる者、或いは之を犬に比す。然れども、犬は人の食を食はざれば、則ち已(巳)む。既に食すれば必ず能く之が為に、夜を守り盗を警め、未だ嘗て懈ることあらず。然らば、則ち士の軟弱無能にして、其の職を勉めざる者は、犬にも之れ若かざるなり。而して犬も亦将に之と比するを恥ぢんとす。鳴呼、士にして犬の比(たぐ)ふを恥づる所と為る。可ならんか。
 明治辛未、注釈1小満節。


 三六、注釈1長沢伯明注釈2赤水軒に書を読む図に題す
 赤城長沢伯明注釈3甫、史文を好んで、善く飲む。其の読書の室、赤水軒と名づく。樹竹環合し、野水帯し、頗る致あり。伯明甫既に戊辰九月某日を以て、岩代の注釈4飯寺に戦死す。寡婦某氏、孤児某、悲慕禁ずる能はず。画工注釈5辰巳(己)教をして、其の読書の図を作らしむ。小林虎、炳文甫、伯明甫と交ること久しく、且つ厚きを以て、請うて其の上に題せしむ。
 虎乃ち涙を拭うて之に題して曰く。
  一瓢の濁酒、 数巻の書編。 人は則ち逝けれども、 水樹依然たり。


 三七、赤穂四十七義士の手簡の跋
 注釈1雪城居士、西遊して注釈2播を過ぎ、偶々四十七義士の手簡を観、を倒まにして之を購ふ。既に帰りて余に示す。

注釈

33.趙高鹿を指して馬と為す図に題す7 34.書画帖に題す
35.犬の図に題す 36.赤水軒に書を読む図に題す 37.赤穂四十七義士の手簡の跋1-2
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