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39.伊藤仁斎真蹟の跋/40.文衡山画山水に跋す
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則ち其の気の壮なるなり。注釈4四朝に歴任し、終始一心、暮年奸臣の忌む所と為り、賊軍に陥り、毅然としてまず。則ち人臣の節、以て尚ふる蔑し。
 鳴呼、其の人此くの如し。苟くも其の精神の寓する所は、則ち愛重欽敬して、将に其の芸の工拙を問ふに、之れ暇あらざらんとす。
 此の帖、注釈5墨本と曰ふと雖も、亦未だ数々注釈6翻雕を経ず。注釈7行法高古にして、天真爛漫たり。称して千載与に比を為す莫しと為す。其れ亦宝とすべきなり。
 嘉永五年壬子、秋、九月、後学小林虎敬題。


 三九、注釈1伊藤仁斎真蹟の跋
 其の学の果して注釈2洙泗の統を得たるか。吾れ未だ之を知らず。其の人の果して仁者為るか。吾れ未だ之を知らず。挺特の操、注釈3磨してせず。清白の行、涅して緇まず。昂然として自得し、今古を睨視す。此れ則ち吾れ其の豪傑の士たるを信ず。
 此の書、筆力注釈4勁、毫も注釈5姿媚の態なし。以て其の概を見るべしと云ふ。
 嘉永癸丑、 仲秋、 雙松小林虎 跋。


 四〇、注釈1文衡山画山水に跋す
 衡山注釈2臨池の技、明代に冠たり。画も亦奥を極め、儔侶寡しと称す。此の幅は蓋し刻意の作にして、凡そ山容水状、樹色烟影、其の高下主賓の勢、遠近明暗の趣、固より已に皆其の精妙を極む。一皴一点と雖も、亦皆軽々しく筆を下さず、各々姿態有らざるなし。而して其の上に又自ら詩一章を録し、以て其の景を略述す。是れ則ち一幅にして二絶具はれり。其の画を観て其の詩を誦せば、恍然として身画図の中に在るが若し。洵に芸林の清賞なるかな。
 安政二年乙卯、注釈3暢月、雙松書生 小林 虎展観して遂に題す。
 余嘗つて明人の書を論じて曰く、注釈4祝允明は従横奔騰の態、以て人を駭かすに足る。而して其の弊や放蕩にして検なし。注釈5董玄宰は明麗秀美の姿、以て人を怡ばすに足る。而して其の弊や媚にして俗に近し。独り衡山のみ注釈6楷摸端正、筆鋒雅健にして、気象高古、復た二子の弊なし。此れ其の明代に冠たる所以なるかと。
 今其の画を観るに、点綴注釈7舗張、注釈8規規焉として縄墨を守る者の若し、而して変化窮まりなし。神韻超絶、亦猶ほ其の書のごときなり。感嘆の余り、再び其の後に書す。
虎 子文。

注釈

38.顔魯公の争座帖に跋す4-7 39.伊藤仁斎真蹟の跋 40.文衡山画山水に跋す1-4 40.文衡山画山水に跋す5-8
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